なんちょうちゃんと!~人工内耳手術編~②
いよいよ手術当日。
朝から喉乾いた、と泣いていたひいこ。
絶飲食のため、水すらあげることもできず、ただただ抱きしめました。
これから何をされるかもわかっていない、この小さな体に今からメスが入るかと思うと胸が締め付けられてたまりませんでした。
手術は両耳のため、朝から。
必死でなだめていると、看護師さんが迎えに来てくれました。
大学病院で手術を行ったため、同時に手術を行う人とともに手術室へ。
何度も名前を尋ねられ、その質問に答えていきます。
その間、ひいこはタブレットで大好きなミニオンの動画を見せてもらえるも、
見たこともない器具だらけの大きな室内に興味津々。
手術室はいくつもの部屋に分かれており、ひいこは一番奥の部屋でした。
上半身裸にし、前日に通しておいた点滴のチューブに薬を投与していきます。
それから手術台の上に寝かせられ、数人の大人から抑えられ、酸素マスクをつけられたところで
私は手術室から退出しなければなりませんでした。
泣き叫ぶひいこに後ろ髪を引かれながらも、ぐっと涙をこらえ、
案内係の看護師さんに出口まで見送られて病室に戻りました。
両耳の手術は7時間にも及びました。
その間、休んでおこうと思ったのですが
やはり休むことなんてできず、ただただ無事を祈るのみ。
長い長い7時間でした。
少し眠ることができればどんなにいいだろうと思いましたが、
そんな心の余裕さえなく、
ただ一人、ひいこの帰りを静かな病室で待ちました。
そうして、看護師さんが手術の終わりを告げに来ました。
手術は無事に成功です。
手術室まで移動用のベッドとともに迎えに行きます。
手術室の待合室でひいこの帰りを今か今かと待ちました。
ようやく帰ってきたひいこは包帯ぐるぐる巻きで、ぐったりと横たわり、
ぐずぐずと泣いていました。
顔は腫れあがり、まるで新生児のころのようでした。
ああ、よく7時間もこんな小さな体で耐えることができたなあ。
本当によく頑張ったなあ。えらいなあ。
もうその姿を見て今にも泣きだしそうになってしまったのは、仕方のないことで。

発熱はありましたが、麻酔が取れるとともにすぐに引きました。
嘔吐があると聞いていましたが、ひいこの場合は鼻血でした。
ひどくはなかったですが、朝までそれは続きました。
それから翌朝まで点滴をしながら病室で眠りました。
時折、ぐぜっては起きてを繰り返しながら、なんとか翌朝を迎えました。
もう、無事に帰ってきてくれたことに感謝とこれから何も起きないでほしいという願い。
この日はこれだけの思いを胸に過ごしました。